浮世絵は日本独特の生活芸術

ヨーロッパなどの芸術至上主義の絵画では、そのモチーフは肖像画や宗教に関連したものなどが多いのですが、 浮世絵は江戸時代に江戸の庶民のために描かれ、モチーフも自然の風物詩や当時の庶民の流行などもある日本独 特の絵画です。

 幕末から明治時代にはヨーロッパに渡りました。当時のヨーロッパの人々は浮世絵などの江戸の美術品を見て、 日本人は上質の生活をしているのだろうとあこがれました。そして描かれている精神文化やモチーフ、技法な どが伝わり、ジャポニスムという大きな文化の流れを生み出しました。絵画では印象派の画家によって新たな 絵画となりました。また、日本の工芸品とともにデザインとなってアールヌーボーなどの様式になり一般市民 の生活の中にも入っていきました。

 明治維新以後、西洋の見方で江戸時代のことが教育されています。浮世絵には絵とともに文字を配し、江戸当 時の人々の生活や思想が描かれていますので江戸の本当の姿を知るのには有力な資料です。

 

 

  浮世絵の歴史

 1603年に江戸に徳川幕府が開かれ、80年後の1681年には浮世絵という言葉が見られます。「浮世」と いう言葉には当時の庶民のために書かれた小説を「浮世草子」というように、当時の仏教思想による浄土(理想世界) に対し、現世を「浮世」ともいい、当時の江戸の最新流行のことが描かれた絵という意味合いで「浮世絵」との説も ありますが、大津絵の絵師にいた浮世絵又兵衛が浮世絵の祖という説もあります。 江戸では「錦絵」、地方の人からは「江戸絵」ともいわれました。また、江戸後期に大阪方面で描かれたものは「上方絵」 といいます。

 明治期にはいると、化学染料により色が変化してゆきます。また、文明開化といった時代の変化のなかで衰退してゆき ます。

  浮世絵には絵師が直接描いた「肉筆浮世絵」と、「版元」と呼ばれる出版業者に抱えられている「彫師」によって木の板 に彫られ、 「摺師」によってすられた「浮世絵版画」があります。この「浮世絵版画」を版元の店先で売る形態が特徴で大きく発展 していきます。